2014年8月8日金曜日

中小企業の事業再生のための特定調停スキームにおける税務上の取扱い

金融円滑化法終了後の中小企業の事業再生のため、昨年12月から簡易裁判所の特定調停制度を利用した「特定調停スキーム」の運用が開始されています。


日弁連のサイトによると、同スキームにより策定された再生計画に関する税務上の取扱いについて、国税庁に対し、日弁連と日本税理士会連合会が共同で照会を行い、平成26年6月27日付けで回答を得たとのことです。

この回答では、本スキームに基づき策定された再建計画により、照会内容に記載した手順で債権放棄が行われた場合、
  1. 債権者においては、債権放棄額を損金算入することが可能なこと
  2. 債務者においては、債務免除益等の範囲内で期限切れ欠損金を損金算入することが可能なこと
 が明確にされています。


これまでの中小企業の事業再生はリスケジュールが中心で、金融機関が債権放棄(一部の放棄を含む。)に応じることは困難と考えられてきました。
この度、特定調停手続による再建計画に基づく債権放棄額が損金算入できることについて、税務当局から明確な回答を得られたことにより、特定調停スキームを利用することで債権放棄に応じる金融機関が増えることが期待されます。

当ブログには、「特定調停スキーム」で検索されて来られる方が多く、中小企業再生に携わる関係者からは強い関心を持たれている問題かと思われます。現実の運用状況等まだ外部から見えてない部分が多いのですが、当ブログでは可能な限り特定調停スキームに関する情報を提供していきたいと思います。

2014年8月6日水曜日

改正パートタイム労働法の施行に向けた省令等の改正

本年の通常国会で成立した改正パートタイム労働法は来年4月1日に施行されますが、施行に向けて省令等が改正されました。

厚生労働省ホームページ・パートタイム労働法の改正について
http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/tp0605-1o.html

リーフレット
http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/dl/tp0605-1o_01.pdf

短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則の一部を改正する省令
(新旧対照表)
http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/dl/tp0605-1o_06.pdf

事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等に関する措置等についての指針の一部を改正する告示
(新旧対照表)
http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/dl/tp0605-1o_08.pdf

改正省令では、(1)短時間労働者に対して明示しなければならない労働条件に関する事項に「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口」が追加され(2条4号)、(2)「職務の内容に密接に関連して支払われる」交通費や賃金(名称の如何を問わない)が均衡待遇の努力義務の対象となりました(3条)。
上記(1)については、改正法施行後に事業者が労働者に交付する労働条件通知書の見直しが必要になります。
上記(2)については、通勤距離や現実にかかる経費にかかわりなく、一律に支給される交通費は、「職務の内容に密接に関連して支払われる」ものと考えられています。


また、改正告示では、(1) 事業主は、短時間労働者が、待遇の決定に当たって考慮した事項の説明を求めたことを理由として不利益な取扱いをしてはならないこと。また、短時間労働者が、不利益な取扱いをおそれて、当該説明を求めることができないことがないようにすること、 (2) 短時間労働者が、親族の葬儀等のために勤務しなかったことを理由として解雇等が行われることは適当でないものであることとする改正がなされました。

厚生労働省のパートタイム労働法ポータルサイトでは、均衡待遇になっているかをチェックできるパート指標等の有益な情報が公開されています。


(関連記事)
 改正パートタイム労働法の公布